ロンドンオカンの言いたい放題

心も財布もど庶民のオカンがいそいそとロンドンへ。何を間違ったかド級の金持ちがゴロゴロいる環境と接点を持たねばならなくなった。さあ、オカンどうする??

ロンドンでナーサリー探し

長女の小学校が決まったら、次は次女のナーサリー探しです。

ナーサリーというのは2年制の幼稚園みたいなものという位置づけでしょうか。イギリスには5歳になる年から「レセプション」という小学校準備学年という学年が小学校内に存在します。長女の学校では「キンダー」と呼んでいるので、幼稚園年長みたいな感じなのでしょうか。そうしますと、ナーサリーは年少と年中と考えてもいいと思いますが、大きな違いは、レセプションは義務教育、ナーサリーは非義務教育ということです。

つまり、こちらのサーチはややリラックスした感ありです。というのも、次女の小学校も確定したため、ナーサリーは見つからなければ行かねばよいという選択もありでしたから。オカンは早期教育にあまり興味を持っていません。面倒くさいというのが一番の理由ですが、枠にはめたくないというポリシーも一応ありました。人間は社会的動物だそうですから、どうせ大きくなるに連れて色んな制約が出てくるわけで、この時期ぐらい無責任自由気ままにテキトーに生きたっていいだろうよ(オカンは大人になってもテキトーに生きていますが、子どもがいる以上無責任にはもはやなれません、残念ながら)、と思っているのです。

とはいえ、3歳児をじっと家に置いておくのは子どももつまらないだろうし、何よりも家で仕事をしなくてはならないオカンが大変なのです。行けるものならナーサリーに行って友達とワーキャー楽しくお遊戯でもしておくれと思うわけです。誤解を恐れずに言ってしまえば、育児の丸投げです。極論にはなりますが、オカンは育児はその子どもを産んだ母親によってなされなければならないとは1ミリも思っていません。適材適所、その道に通じた人によってなされればいいと思います。つまりは、保育に長けた保育士でも、ベテランのナニーさんやベビーシッターさんでも、おばあちゃんおじいちゃんでも、果てまた近所のオバさんオジさんお姉さんお兄さん、寺の坊さん、教会の神父さん、養父母さんでも里親さんでも「愛情」と「規律」と「健全な精神」を持った大人によって安定した環境で生育されることの方がよっぽど大切だと思っています。

オカンは子どもたちに愛情は限りなくありますし、タイガーママというニックネームが長女のママ友間で囁かれていた事実があるので厳しさも持ち合わせていると自負します。がしかし、子どもを楽しませる術を持っているかと言うと甚だ疑問です。工作も裁縫も苦手。公園はもとより外に出るのが嫌い。最悪です。ドングリコロコロを誰よりも情緒豊かに歌って、キッズを必ず大爆笑のうずに巻き込む自信はありますが、それも正味10分でしょう。

ウダウダ言い訳並べましたが、要はナーサリーに行ってほしいんです。できれば。

 

というわけで彗星のごとく心強いお助けマンとして現れるは、A嬢です。

彼女にはオカンの次女と同じ歳の子ども(Bちゃん)がいます。よって、Bちゃんと同じナーサリーに行ってもええかなーとオカンはすりすりクネクネ。そのナーサリーだと長女の学校にも近いのよ〜、Bちゃんとも一緒だと心強いのよ〜ということで、太っ腹でおとこまえなA嬢は、「あ、私の名前使って下さい」とちゃっちゃとそのナーサリーに口をきいてくれ、登録料もポンドで立て替えてくれました。

ああ、ありがたやありがたや。

とはいえ、こちらも実はウェイティングリスト必須の人気ナーサリー。保護者には有名人やどこぞの国のプリンスなどもいらっしゃいます(行ってみて判明しましたが)。まあ、ダメ元です。

ナーサリーのヘッドミストレスはお話し好きな女性。長女の学校訪問の合間の隙間時間に面接と学校訪問をさせて頂きました。手応えは全く分かりませんでした。ヘッドミストレスのお話を延々と聞いて、世間話をしていた感覚です。学校施設はそんなに広くありませんが、清潔で明るく、いろんな工作や絵画が飾られ、あたたかい雰囲気は部屋に入った瞬間から感じられます。悪い印象はなにも受けませんでした。子どもたちも楽しそうで、先生たちも熱心でニコニコ。次女が毎日行くのが楽しくて人生ハッピーパラダイスな気分でいられるならそれで十分です。

手応えが分からなかったので、オカンはちょっと駆け引きを試みました。

「実は次女は来年、△プレップスクールへ進学が確定しています。(つまり、小学校進学先が決まらないと言ってあなた方をせっつくことはないですよ。なので、1年ちょろっと過ごさせて下さいよ。という意味を内包している)」

この学校探し目的のロンドン滞在中に結果を知らされることは叶いませんでしたが、後日、無事入れてもらえることになりました。駆け引きの効能があったのかは分かりません。とにかく、晴れてBちゃんという既知の友達と新しいナーサリー生活を送れる運びとなりました。うちの次女は本当にラッキーとしか言いようがありません。姉の頑張りで小学校が確定し、A嬢の口利きで友達のBちゃんと一緒にナーサリーに通える。すべて他人のふんどしで相撲を取りまくっているわけです。そんな人生でええわけないやろっとオカンはギリギリしますが、オトンはのほほんと、「ええやん、それでオカンが楽になったやん。しかも、人生ったってまだ生まれてから3年やで。これから色々あるがな。(註:オトン欧州人です。なんとなくとある関西の漫才師に面影が似ているのでオトンの言葉を日本語に訳すと関西弁になります)」

こちらのナーサリー、ちょっと困ったことに入学金をチェックか現金でしか受け取らないという不思議なシステムで、当時小切手の習慣がない外国に住んでいるオカンはどないせーっちゅーねんとまたギリギリ。こちらもやはり、前述のA嬢に協力を仰ぎ、彼女の口座へ海外送金し、彼女が小切手をきって払い込んでくれて事なきを得ました。これ、イギリスにこういうややこしいお金の絡むことをやってくれるような知人友人がいない転入者はどうするんだろう...と疑問に思った次第(オカンがこれを書いている2016年1月現在では振込も海外送金も可能になりました。そりゃそうでしょうよ)。

なんとか2人とも学校が決まりました。

 

次にするのは家探しです。平和な小国と違って、子どもの通学は大人の付き添いが必須な大都会ロンドン、学校に徒歩で通える距離に家を探さねばなりません。なぜなら、オカン一家は娘2人が私立に行くためフルタイムでナニーやベビーシッターを雇える金銭的余裕など露ほどもありませんし、そもそも自宅が事務所の自営業者です。子どもの送迎すら自分でできないのであれば安定企業で雇用されている方が、定収入、有給休暇ありでよっぽど楽チンなわけです。

さて、この家賃暴騰のロンドンで、しかも西部高級住宅地域で、果たして家が見つかるのだろうか。。。

ロンドンで小学校を探す Part 3

学校選択の決めてについて。

結局、訪問した私立小学校は5校。

オカンの正直な感想を申し上げると、どの学校も甲乙つけがたし。ヘッドマスター、ミストレス(校長)はどの方も教育熱心でそれぞれの学校を大変に愛している様子が伺えるし(それは例え表向きのセールス手腕だとしても、オカンはそこに差は全く感じず)、学校環境もエリアによっては校庭の有無など差はあれど、そんなことはオカンの重要視するところではありません。ただ、学校それぞれにここに力を入れているよという部分に特徴がありましたので、オカンの教育観と娘の性格を照らし合わせると、意外とすっきりすんなり決められたように思います。

なお、この希望順位は面接及び学校訪問をした後で決めました。

 

まず、ドイツ人学校とイギリス私立校という選別。

ドイツ人学校評価も学校も内容も素晴らしいです。卒業生の行き先も優秀極まりないです。加えて学費もイギリス私立校の3分の1。ただ、せっかくイギリスに来ていて、ドイツのカリキュラムで全課程ドイツ語(バイリンガル校ですらない)でって、なんでイギリスに来たん??というヘンテコリンなことになってしまいます。それなら、前に住んでた国で教育受けてるのとなんら変わりませんよね?ということで、引受先があるのならイギリスの学校へという簡単な結論。もともと行く先がない場合のコンティンジェンシープランでしたし。

第三希望イギリス私立校

ロンドン北西部に位置するカトリック系列の女子校。立地よし、ヘッドミストレスはフレンドリーで落ち着いた温和な女性。カリキュラム内容も素人のオカンには素晴らしい内容に見えました。ナーサリーも併設されており、下の子もすぐに同じ学校でオカンは楽チンです。ただ一つの懸念点は、カトリック系なので宗教関連の授業が必須な部分。オカンは子どもたちを無宗教で育てています。宗教とは生まれで決まるものではなく、ある程度考えられる時期が来たら、自分で吟味して選べばいいと思っているからです。夫は科学者ゆえに生涯無宗教を貫いており、私は色々考えた結果、禅と神道をベースにして死んだじいちゃんを心の拠り所としています。

よって、何でも純粋に柔軟に吸収できる幼少の頃からある一つの宗教の過大な情報流入は避けたいと思っているのでそこが引っかかるところでした。

第二希望イギリス私立校

ロンドン南西部に位置するプレップスクール。カリキュラムや学校施設は素晴らしく、さすが5大女子校のうちの一つです。ただ、ナーサリーはないので下の子のナーサリーは別に探す必要あり。校長先生との親との面接は淡々と進みましたが可もなく不可もなく。とてもアカデミックで上品な素晴らしい校長先生ではありました。アセスメントを終えた娘に感想を聞くと、「うん、楽しかったよ。」とこれまた淡々とした参考にも何もならない感想。なんや、分からへんやん。。。とオカン。

第一希望イギリス私立校

ロンドン西部に位置するプレップスクール。5大女子校のうちの一つ。学校施設は閑静な高級住宅地に位置するためか恐らく一番狭苦しい感じでした。カリキュラムも第二希望校と大差なく。こちらもナーサリーはないので下のこのナーサリーを別に探す必要あり。ただ、こちらの学校長、超絶に明るく元気。学校を見学するときも、秘書やスタッフに任せるのではなくもう率先して自分がニコニコと時折ジョークを織り交ぜて見せて回ってくれます。「校舎、複雑でしょ?ボクよく迷うしよくぶつかるんだよね〜♪」とニコニコ。オカンは元気のいい先生が大好きです。子どもが6年間接する一番身近な大人です。元気で明るい気持ちのいい人が一番です。面接のときも、「あなたの教育観を教えて」と娘がどうこうではなく親の価値観を聞きたがり、面接時不在のオトンの面白おかしい化学実験の失敗話を腹を抱えて笑ってくれたり、オカンは楽しい時間を過ごせました。オカンの心をとらえたのは、「我が校はサイエンスと歴史教育に実は重きを置いています」という校長の一言。どの学校も英語と算数のレベルを強調します。それらもちろん勉学の基本中の基本。強調されても、あたりまえやん?と思うわけです。それをベースにどこに勉学を広げていくのん?と思ってたところにこの一言。刺さりましたね。オカンはこの校長に惚れました。

その間、娘は別室でなにやらアセスメントを受けていたようですし、下の子はレセプションクラスに連れていってもらって一つ上のお姉さんたちに遊んでもらっていたようでした。

全てが終わった後、退出する時、別のファミリーが面接を待っていました。良家のご家庭といった風に、お父様はびしっとスーツ、お母様は一糸乱れぬシャネルスーツに綺麗にセットされた金髪のヘア。お嬢様は紺色のドレスに革靴。綺麗に編み込んだ金髪の三つ編み。

瞬間、「あ、だめだこりゃ。この学校は落ちたな。。。」と残念ながら確信しました。

一方のオカン。オトンはミーティングがあるからとそもそも不在。「おまえさんに任せた」といって面接は全て単独参加。オカンは普通の白いシャツ、黒いパンツに歩きやすいフラット。おまけに3歳よれよれの下の子付き。肝心の娘はなんとか、一張羅のプリーツスカートとブレザーを着ていましたが、ふと気付くと膝頭に小さく穴があいているレギンスをご着用。がーん。

娘に「どうだった?」と聞くとよりによって、娘は顔を輝かせて「私はここの学校に行きたい。英語と算数のテストは分からないことばっかりだったけど、ママ、私最後まで諦めなかったよ。何度も何度もトライしたよ。」

うーん、その努力はオカンが世界で誰よりも認めてあげるよ。でも現実は厳しいかもしれない。たくさんの子がこの学校に行きたいみたいだから、行けないかもしれないということは覚えておいてなと言いました。

 

結果として、幸運にも第一希望の学校から翌日朝7時にお電話を頂き、このように言われました。

「あなたのお子さんを我が校は受け入れる決断をしました。アカデミックな到達度は我が校の基準にもちろん達していません。ただ、我々はあなたのお子さんに素晴らしい可能性を見いだしています。この年齢で、このレベルの英語とドイツ語を習得されているのが何よりもその証拠です。彼女は在校生へもより良い影響を与えるでしょうし、彼女自身も我が校で輝かしい学校生活を送ってもらえると思います。ようこそ我が校へ。」

オカンは嬉しかったです。

なによりも、娘が自分でこの学校に行きたいと行った学校から受け入れてもらえたということに。そして、オカンがよかれと思っていたことが少なくともこの学校の教育観と相違なかったことに。

というわけで、娘は叫び、オカンは安堵し、

「9月からよろしくお願いします」

とこたえて学校探しは幕を閉じました。

余談ですが、オファーレターが届くと同じ書式で2通入っていました。見ると、姉妹ポリシーにより、下の娘の2016年度同校入学も保証されましたという信じられないような幸運。これでオカンもオトンも一生分の運を使い果たしたので、宝くじには当たらないなーと思います。

「子どもはイギリスで育てたい!7つの理由」うん、同感

オカンのブログには恐らく頻繁にA嬢なる人物が登場します。

オカンの長年の友人であり、ご近所さんでもあり、オカンにとってはロンドンの灰色の空に差し込む一筋の光明のような存在とも言えます。

そのA嬢のご友人、浅見実花さんが掲題カッコ抜きのタイトルで本を出版なさいました。よって、早速オカンも拝読にあずかりました。

どうやら、著者はオカンの娘と同年齢のお子様がいらっしゃるご様子。興味津々でページを開いたところ、その魅力的な筆致にひきこまれ一気に読破。

まず、タイトルと見出しページから。

出産から小学校教育までご経験された著者の分析やアイデアが7項目に分けて述べられているよう。すでにこの7項目に挙げられている見出しだけで、そうや!そうや!と思えてしまうのがオカンの短絡なところ。

そしてプロローグ。

オカンはこの13ページのプロローグですでに著者の浅見実花さんという方に深く感心することになりました。

まず、イギリスの階級社会の複雑さをよく理解していらっしゃること。オカンの子どもは私立にいっていますが、そこで出会った「上流階級」に属する方々の価値観というものは本当に庶民の想像をはるかに超えるものでした。子どもの教育観一つとってもオカンの子どもには参考にすらならない範疇で生きていらっしゃるわけで。よって、留意点に明確にその旨を記述なさっており、イギリス社会をよくリサーチなさったことが伺えます。

そして、比較文化類の本にありがちな、どっちが良くてどっちが悪いとばっさりぶったぎる論調がこの本には一切ないこと。浅見さんはご自分のリサーチや観察結果を元に常に一歩下がった冷静な視点で述べていらっしゃる。「両国を比べて、その優劣を付けたいわけではない。...だが、私たちはそれぞれ、自分なりに考えることができる。それをもとに変化を生み出すことができる。」という一文で、読者に、さあ、皆さんはどう思われますか?どうされたいと思いますか?と思考を促していらっしゃるように思います。子どもは一人一人違って、それぞれの子どもの数だけ生育過程があるわけで、浅見さんはこの著書内で、読者が思考する機会を与えてくれているように思ったのでした。

それに続く本文は頷かされること、共感する部分、新たな視点を提供されることが多く、また、オカンなりに私立校との違いを発見する部分もあり、イギリスの教育というものを深く考えるにあたって大変貴重な資料となり得ました。

オカンは教育立国と呼ばれる欧州小国からわざわざイギリスに子どもたちの教育の場を移しました。世界中からこの小国へ子息を送り込む家庭も多いのにです。

「なんで?わざわざ?」「こんな素晴らしい教育の国からイギリスへ?」何度となく多くの人から言われました。違うのです。この小国の素晴らしい教育方針や環境に不満があるわけありません。ただ、オカンの子どもたちにとって最も必要だと思われる部分がイギリスだとより重要視されている、ただそれだけのことなのです。この「最も必要だと思われる部分」というのは各家庭によって違いますから、イギリスの方針がいいと思う家庭もあれば、アメリカのそれがいいという家庭も日本のそれがいいと思う家庭もあってしかるべきです。それが、各家庭における教育観なのだと思うのです。

後は、ぜひ皆様がこの著書をお手に取ってそれぞれの教育観のようなものを認識されるのが良いと思いますので、ぜひ読んでみて下さい。

ロンドンで小学校を探す Part 2

 

 

londonokan.hatenablog.com

 

Part 1に引き続き。

ドイツ人学校のスポットを確認してから、脳天気なオカンはすっかり気が抜けて、各ロンドンの私立小学校へ登録したこともうっかり忘れそうでした。とはいえ、そのドイツ人学校も、その他の学校も直接行って見てみないことには何とも決められません。

百聞は一見に如かずです。

イギリスにはオフステッドという教育水準局という独立した学校評価組織が存在します。ここから派遣される査察官がイギリス中の学校を査察し、4段階の評価(「Outstanding (大変良い)」「Good(良い)」「Required Improvement(要改善)」「Inadequate(不適格)」)をつけます。それらの評価はオフステッドレポートとしてこちらで誰もが閲覧できるようになっています。つまり、我々のように右も左も分からないところから子供の転校先を考えている家族にとっては、最初のリサーチの段階では大変に参考になる情報と言えます。

オカンの場合、学校選択が第一優先項目だったこともあり、ロンドン及びロンドン近郊全域が候補だったので、その膨大な学校数から数校に絞り込むだけでも大変な作業なわけで、学校ガイドで学校の仕組みや特徴を勉強した後の段階でこのオフステッドを利用しました。つまり、「足切り作業」です。加えて友人A嬢からもらったリストで更に絞りこみをかけました。その結果がPart 1に挙げた学校だったわけですが、まあ誰もが同じことを考えますし、超絶に狭き門であることは明白。

しかも3年生ともなると、私立校は編入にあたって試験が課されます。これはうちの娘は圧倒的に不利でした。なにしろ、今までいた国ではまず小学校スタートが1年遅いのです。つまり、娘は編入時点でやっと小学校1年生が終わった段階で、いきなりイギリスで小学校3年生になるのです。学力達成度という観点ではほぼ絶望的だなと思っていましたが、とにかく見学や面接を受け付けてくれる学校には片っ端から当たってみることにしました。学力は遅れていても、オカンの娘7歳にはたった一つ大きな強みがありました。それは7歳時の段階ではという注釈はつきますが、英語、ドイツ語、日本語のバランスの取れたトライリンガルというものです。オカンはとにかく7歳という母語が定着するまでに3カ国語をバランスよく彼女の脳内言語引き出しに格納する作業に尽力していました。その部分を学校が評価してくれるなら、そこが彼女にとって適した学校だとなんとなく思っていた節があります。

一方、駐在手当の一つである「学校探し」も大変ありがたく利用させてもらいました。学校サーチは一つのビジネスとして成り立っているんですね。ちいさく驚きでしたが、そのニーズは多いため当たり前っちゃ当たり前です。

5月時点で様々な私立校の編入可能枠をざざっとリストしてくれ、その数たるや、数十校はありました。上述リサーチのおかげでその数をすぐに絞り込んで連絡。なんと、その中に5大女子校のうち2校がリストにありました。よって、ダメ元でエージェントにアセスメント(編入試験)のアポイントメントを取ってもらいました。

アセスメントを含めて学校訪問が可能な期間は1週間。べつに決まりはありません。オカンと娘の気力持続可能期間が1週間だと思っただけです。オカンは面接して学校長とくっちゃべっていればいいですが、田舎育ちの7歳の娘に編入試験等のストレスは1日2校、最長5日、最大10校でしょう(これ、かなり鬼母的であり非現実的でありというのは自覚しています)。現実として最初の3日間が肝だとふみ、難関校から順にアポイントメントを取ってもらいました。

1日目=ロンドン北西部の私立学校2校(うち1校が第三希望)

2日目=リッチモンドのドイツ人学校(面接のみ)とロンドン南西の私立学校1校(第二希望)

3日目=ロンドン西の私立学校1校(第一希望)

4日目=ロンドンセントラルの私立学校2校

5日目=ロンドン東の私立学校1校

 

結果として第一希望校(Part 1であげた学校の一つ)から試験を受けた翌日の朝7時にオファーを頂くことができ、それが学校訪問開始から4日目の朝で即決。その後に予定していたアポイントメントは全てキャンセルしました。通常なら一校一校に書面にてお詫びを送付するのが礼儀ですが、そこもエージェントが全て引き受けてくれたことも有り難いサービスでした。

ドイツ人学校は個人的にアポイントを取っていた学校なのでこちらだけは書面にてお礼をしたことになります。

余談ですが、余った2日間は娘たちとロンドンで大英博物館に行ったり、ロンドンバスで周遊したり遊び倒しました。

次にPart 3にて、この学校に決めた経緯を述べます。

ロンドンへお引越

行くぞと決めたロンドンですが、はいそうですかとスーツケース2個で動けるのは独身のうちだけ。家族を連れての海外移動となるとやることすることが膨大にあるわけです。そう思うと、会社の一存で、あの国へ行け、この国へ行けと駒を動かすように社員を動かす日本企業、そりゃ手厚い駐在手当でも出さないと社員としてはやってられませんよ。

というわけで引越です。

結構な年数を過ごした家の中というのは大抵モノで溢れています。

特にオカンのように家の中に籠るのが好きなタイプの人間は家の中が聖域。しかも、食べることに命をかけるときているので、服の数より食器の数がハンパありません。しかも、冬の長い国では何をするって本を読むので本の数もハンパありません。そして悲しいことに「本」と「食器」は2大引越泣かせの代物でもあります。つまり、「重い」「かさばる」というわけです。

と考えると、もしかしたら。

外交的で外に出るのが好きなタイプの人は恐らくこういうモノが家の中に少なく、逆に洋服や化粧品など対外的に必要なツールが多いのかなと思ったり。しかもこれらって、コンパクトにまとめられて移動しやすいモノでもあり。つまりは自身の移動も比較的簡単に思いついたりできてますます行動的外交的になっていく。

オカンのように家に籠れと言われたら1週間でも2週間でも籠れるタイプの人は、どっしりと移動させにくい上記のようなモノが増えていき、ますます籠もり動かず、ますます内向的になっていく。これに居心地のいいソファーや椅子などがあればもう二度と外の空気を吸うことはありますまい。

あ、オカンのざっくりした推論ですよ。何の根拠もありません。

ウダウダ言っていても仕方ないので思い腰を上げて、今流行の断捨離決行。

上記の推論より、何が一番早く捨てられるかといえば、外交的お品たち。服も化粧品もばっさばっさと捨てられます。そもそも化粧品など腐ってるであろうものがほとんどなのでこの際全部捨てちまいましょう。

おお、バリキャリ時代に粋がって買ったスーツの面々。若い衆に全部あげてしまいましょう。どうせ、アラフォー似合いません。バリキャリ時代ちょいと小金があったのでドルガバやグッチやらそうそうたるハイブランドの面々が見え隠れして「これで不動産でも買って転がせばよかったよ!」と当時のオツムの弱い自分を嘆きつつ、二束三文でリサイクルショップに持っていく。

そして、対峙したるは「本」と「食器」。どうやって減らすか?減らしませんよ。厳選され吟味された大切なものです。持っていきますよ。

 

引越が断捨離のいい機会になると言いますが、これは本当ですね。

とはいえ、家族四人の犬一匹、大小合せて合計483箱、加えて夫の趣味のワインが200本(高い酒税をかけられてまで移動する価値はあるのか?と問うのはやめておく)。すごい荷物であることには変わりありません。

引越業者の兄ちゃんたちにも、文句言われました。なんでこんなに重いものばっかりあるのか、おまえさんの職業はシェフかフードコーディネーターか?旦那は学者か?

オカンははたと気付きます。

これらの荷物を収容できる家が果たしてロンドンで「予算内」に見つかるのか???

もはやムンクの叫びに似た様相になってきました。ぎゃーーー、家探し!!!

 

SMAPの解散にオカンが思うこと

ロンドンネタとは全く関係がありませんが、オカンはSMAP世代でもあり、また「組織からの独立」という観点で思うところがあったのでこの話題にかぶせて書いてみます。オカンは熱心なジャニーズファンではありませんが、ジャニーズ事務所の特異性は日本の芸能文化として興味深く、そのセールス手腕には注目に値すると思っています。

加えて、オカンは普通のオバさんなので、才能光る変わった男子はやはり見ていて興味をそそられるゆえに、嵐の大野智さんや二宮和也さんは特に注目してみてしまいます。ただ、それはアイススケートの羽生選手や、FACEBOOK創始者のザッカーバーグ氏などに対する「突出した個性を持つ人々」としての興味と同じ種類のものと思っています。

話を戻します。

一般人のオカンが手に入る情報は現時点で「SMAP解散か、木村拓哉のみジャニーズ事務所に残留、後の4人が独立」というもの。

このニュースを友人から教えられて、ネット上で見た直後の感想

「早まったらあかん。自分らサラリーマンやん!」

でした。40歳前後で組織の駒(相当稼ぐ駒ではありますが)である自分たちを客観的にエバリュエート(評価)してみた結果なんか?と思った訳です。

大企業に勤めている(いた)方々なら実感としてお分かりかと思います。オカンもかつて誰もが知っている会社に在籍したことがありました。その会社名は一個人を社会的に信用させる印籠のような役割を果たしてくれることがありました。特に、業務上他の会社のお偉い方々と会うこともありましたが、これら全て「オカンの実力」ではないんです。その大企業の駒であるオカンだから実現すること。脳みその濃度はあまり高くないオカンですが、だからこそそのように思っていたように思います。

そして、それを思い知らされた経験もしています。オカンは独立して自営業をしているからです。起業した当初、金融機関に会社名で口座を開くこともままなりませんでした。自己資産の担保をいれてようやくといった感じで、その後の信用確立に至っては業績をちまちま積み上げるしかありません。とにかく当初はサハラ砂漠の真ん中に1人で放り込まれたような気分でした。

しかし、そうやって多くの人が独立、起業を思い立ち、活躍し成功しているわけで、オカンはその動向を批判している訳ではありません。むしろ、応援する立場に立っています。実績を積み上げ、信用を獲得していく喜び、思うがままにふるまえる自由はなにものにも代え難い。苦労をするだけの達成感はあるからです。

しかし、ジャニーズ事務所に属し、芸能界という特殊なフィールドで生きるタレントたちにそれが応用できるのかと問えばやはり疑問が生じるのです。

ここで嵐の二宮さんを注目するに至った言葉を引用します(うろ覚えですが大体こんな感じ)。

「自分位の俳優は沢山いて、自分より優れた俳優も沢山いる。どの仕事もジャーニーズの二宮にきていると思っている」

この冷静さ。嵐といえば日本では国民的アイドルグループでしょうし、あっちでワーキャー言われ、こっちでちやほやされて尽くしていることと思います。その状況下でこの客観性を維持できるのは素晴らしいことです。めまぐるしくもおびただしい情報に晒されている今日、人々の興味や関心のスパンも短くなっています。その時代に人気を長く維持することの大変さを二宮さんはお分かりなのでしょうし、またご自分の実力というものもきちんと自己評価をなさっている方なのでしょう。その上で、戦略的にご自分の立ち位置を嗅ぎ分けていらっしゃるのだとオカンは勝手に推測します。

SMAPの独立されるメンバーはその厳しい事実を把握しているのだろうか。。。

ただし、この考えはSMAP解散後の独立した4名が芸能界というフィールドで生き続けると言う前提で述べています。先に申し上げたとおり、駒は駒でも「普通のサラリーマンがひっくり返っても稼ぎ出すことのできない金額を既に稼いでしまっている」駒であられますので、この4名が「別に芸能界の表舞台引退でもいいよね。本当にやりたいことを小さくやれたらいいよね」ぐらいの気構えで決断した結果なら、これは全く問題ないと思います。今まではやれと言われたことを言われたとおりにやってきたけど、これからの人生好きなようにやりたい場合、この独立劇は成功かと思われますし、逆に今までできなかった分野に挑戦できたり風通しは大変に良くなるかと思います。

要するに、巨大組織を抜ける場合は、

1. 己に相当の実力があること

2. 己に適切な人脈があること

3. 規模を縮小し、フィールドを違えてもやりたいことがあること

4. 抱える責任やしがらみがないこと

5. 数年無収入でも食っていける見通しがあること

6. 逆境に耐えうる強靭な精神力があること

などを自分に再確認しなくてはいけないと思います。

そういう意味では、失礼ながら世界基準で「芸能」レベルを鑑みますと1の条件は全員論外ということになりそうです。日本の芸能界で道を断たれる最悪の状況を想定した時、日本国外に岐路を見いだすことができるかどうかという観点です。ただ、中居さんは場をまとめる話術をお持ちだとのことでこちらの実力は相当なのでしょう。なので、2と6が備わっていれば勝算ありなのではと思います。特に6は様々な思惑が交錯する特殊な芸能界において、2がごっそり流れてしまう懸念材料があり、かなり必要なのではないかと思われます。木村拓哉さんの残留は大変理解ができるところです。メンバーの中では唯一既婚者でお子様もいらっしゃいますし。情や恩義で飯は食えないと思われたとしても何ら不思議ではありません。もしかしたら、ジャニーズ事務所内での出世なども考慮しているかもしれませんね。それはそれでそういう生き方であり、批判されることでもありません。4と5に関してはどのメンバーも問題ありませんから、他のメンバーも3が明確で6の覚悟ができていれば大丈夫でしょうね。

勝手につらつら思いめぐらしましたが、結局のところ25年もの長い期間芸能界を牽引して来られた同世代グループ、SMAPの各メンバーの皆さんがそれらを考え抜いた上での決断でありますように、そして、そのご決断がメンバーの皆さんの幸せに繋がればいいなあとオカンは思った次第です。

特に独立を決める皆さんが「自由」を謳歌して下さることを特に願ってやみません。ただ、色々考えて残留を全員が決断された場合も、そこは一流コンサルタント会社のマッキンゼーの経営方針を見習い、ジャニーズ事務所の幹部の方は快く受け入れる懐を持ち合わせていて頂きたいものです。

 

ロンドンで小学校を探す Part 1

やりたい放題の人生も半分も過ぎれば大抵息切れもし、さほど執着もなくなってくるというもんです。となるとがぜんオカンの優先順位は子供たちの環境を整えることとなります。

子供たちが最も時間を過ごす場所=学校なわけで、結果的に学校選びが再重要項目に上がってきますね。オカンに子供は2人いて、どちらも娘です。7歳と3歳なので、それぞれ小学校とナーサリーを探す必要があります。

ざっと調べたところ、イギリスの学校制度は何気に複雑で、男女で入学時期や卒業時期が違ったり、私立 (Independent School) と公立 (State School) では登校日数すら違ったりします。共学ももちろんありますが、男子校女子校と分かれている学校も多い。地域によっては人種の偏りもあるし、国際都市なだけあって、言語の数だけそれにベースにした学校もあります。インターナショナルスクールも山のようにあります。

なんだこりゃな選択肢の多さに、まずはリサーチを開始しました。参考にしたのは

The Good Schools Guide London South

The Good Schools Guide London North

大抵の学校は網羅されているということで取り急ぎこちらの小学校(PrimaryとPrep-School)の部分を読破。7歳の意向を聞くと「女子校に行きたい」というので、共学と女子校を網羅すると老眼に響くため、こりゃ幸いとばかりに共学校を全部省く。

私立はお金がかかるので、まずは公立と思い、いいと評判の公立に片っ端から電話をかけました。1時間後、あまりの疲労に脳内が完全にショート。なぜなら、めぼしい公立はどこも定員オーバー。どうしてもと食い下がると、

「じゃあ、いいですか?学校から200メートル以内に住居を定めて下さい。それでも、この学校に来れるかどうかは来てみないと分かりません」

そんな賭けできるわけないでしょうが。8月下旬に来て、どうにか200メートル以内に住所を決めて、それで「あ、無理です3キロ先の隣の学校に行って下さい」って言われた時にオカンは平静でいられるとはとても思いません。

 

ええい、それなら私立じゃ。子供のためならオカンは芋食ってでも行かせてやる!と鼻息荒く方針変更。オカンの愛すべきロンドン在住友人、才媛のAちゃんに愚痴がてら泣きつくと、ほいさっさとあたってみるといい私立女子小学校をざざっと羅列してくれました。一つ一つリサーチすると、なんでしょうかね、どの学校も「Registered immediately after the birth」という奇妙な一文が目に入ります。前述のA嬢に聞くと

「ああ、分娩室の前で各有名校の登録用紙をパパさんが持って待機してて、産まれた瞬間に提出しに走るんですよ」と驚愕の事実。そういえば、有名校とはいえ入学はfirst come first serve、つまりNon-selective、選考せずに早いもの順で決まると書いてある。こりゃ、無理だ。絶対無理だ。と絶望感に苛まされつつも電話だけは全部かけてみました。すると、なんだこの超絶フレンドリーな対応は!先日公立小学校でコテンパンな対応をされただけに、ものすごく丁寧できめ細やかな対応にすっかり心を奪われてしまったオカン。とはいえ、どの学校も小学校3年生へ編入ということで登録だけはさせてくれたけれど、これも空きが出たらの話。時は4月。7月位まで待たないと何とも言えないということで、宙ぶらりんのままである。

ちなみにオカンが登録した女子校は

Pembridge Hall Pre-School

Bute House

Falkner House

Kensignton Prep-School

5大女子校のうちの4校でした。

 

どうにも決まらないままでは不安なので次に当たったのがインターナショナルスクールとドイツ人学校。ドイツ人学校はほぼ受け入れてくれるということを知っていました。なぜならドイツ語を母国語とする国の国籍保持者だから。こちらリッチモンドに位置するとても美しい学校で、ドイツが補助金を出していることもあり学費も大変リーズナブル。インターナショナルスクールは学費がイギリスの私立校よりもはるかに高い割に、履修内容はさほどいいとは思えず。インターに行くならシニアからでいいと思った次第。インターナショナルバカロレア(IB-国際高校卒業資格っていうのかな日本語では)を取るにはシニアからで十分だと思ったのです。そもそもイギリスの名だたる中高はIBを取らせるところも増えてきているためインターにわざわざ行かせなくてもという結論。

結局、行くところがなければドイツ人学校があるということで心の平穏を取り戻したのでした。

<つづく>